糖分が多く含まれる白米、パン、麺類などの炭水化物の食品を多量に摂取すると、
血糖値が急上昇します。
すると、その血糖値を下げるために、膵臓から多量のインスリンが分泌されます。
この時、どうやってインスリンが血糖値の上昇を抑えるのかというと、
血液中の糖分(ブドウ糖)を脂肪や筋肉などの組織に取り込ませるように働くので、
その結果、血液中の糖分(ブドウ糖)が減少して血糖値が下がるというわけです。
しかし、これを何回も繰り返していると、脂肪が蓄積されやすくなり、
肥満体型に向かうことになります。
さらに、怖いのは、常に食べ過ぎの食生活や偏食、運動不足、肥満、ストレスなどから
インスリンの分泌量が減るなどして正常に働かなくなり、
糖代謝に異常をきたしてしまうことです。
こうしてインスリンの働きが低下し、血液中の糖分(ブドウ糖)が
適切に処理されなくなり、高血糖状態が続くと、やがて糖尿病に陥り、
血液はドロドロになって血管に障害をもたらし、神経も破壊されてしまいます。
よく糖尿病の合併症として挙げられるのは、
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害の3つで、
網膜症から失明、腎不全から血液透析、神経障害から足の切断といった過程を
たどることになります。
また、日本人の死亡原因の上位3位までは、ガン、心臓病、脳卒中が挙げられますが、
この中の心臓病と脳卒中は、糖尿病から併発することが多くなります。
このような大変な状態になる前に、しっかり高血糖のケアをすることが必要です。
高血糖を治すには、運動を取り入れるなどの生活習慣の改善も大切ですが、
まずは、血糖値の上昇を抑える食事法が重要になります。
食事法の基本は、栄養バランスのよい食事を規則正しく摂り、
1日の適正なエネルギー摂取量を守ることです。
1日の適正なエネルギー摂取量は、その人の体重、1日中デスクワークや立ち仕事、
重労働などによって変わりますが、次の計算式で推定のエネルギー量が分かります。
推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
☆身体活動レベル
低い 1.50(1.40~1.60)
普通 1.75(1.60~1.90)
高い 2.00(1.90~2.20)
この計算式で分かった量の範囲内で、栄養バランスを考え、
1日、朝、昼、晩の3食で摂ることです。
その中で、できるだけGI値(グリセミック・インデックス)の低い食品を選んで
食べれば、血糖値の上昇を抑えられますし、高血糖の改善に効果的な食品もあります。
例えば、「玉ねぎ」は、目を刺激して涙を出したり、
鼻をツーンとさせるイソアリインという成分が含まれていますが、
生で食べれば、このイソアリインが血液中の糖代謝を活発にして
血糖値を下げる働きをして、
加熱した場合は、中性脂肪やコレステロール値を下げる効果があります。
「まいたけ」に含まれる成分は、血糖コントロールと免疫力向上などの効果が
期待でき、沖縄の代表的な食品「ゴーヤー」も、
糖質の吸収を抑えて食後の血糖値の急上昇を抑えてくれます。
その他に、「ごぼう」「長ねぎ」「やまいも」、
そして、海藻類や大豆製品なども効果的とされています。
ただし、これらの食品を単独で食べても、劇的に症状が回復するということは、
まずありません。
あくまでも、栄養バランスのよい食事を規則正しく食べることが大前提となります。