「最近、ちょっとしたことでイライラする」
「気分が落ち込みやすい」
「ストレスに弱くなった気がする」このように、
年齢とともに感情のコントロールが難しくなったと感じる人は少なくありません。
もちろん、感情の変化には睡眠不足やストレス、ホルモンバランス、生活環境など、
さまざまな要因が関係しています。
しかし、意外と見落とされやすいのが毎日の食事、とくにタンパク質の摂取量です。
タンパク質は筋肉や肌、髪、内臓などをつくる材料として知られていますが、
実はそれだけではありません。
私たちの脳が正常に働き、気分や感情を安定させるためにも重要な栄養素なのです。

タンパク質は「心の材料」にもなる
タンパク質は、体内でアミノ酸に分解されて利用されます。
そして、このアミノ酸は筋肉や皮膚などの材料になるだけでなく、
脳内で働く神経伝達物質をつくる材料にもなります。
代表的なものが、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどです。
たとえば、セロトニンは
気分や感情、睡眠などに関係する神経伝達物質として知られています。
その材料の一つとなるのが、必須アミノ酸の「トリプトファン」です。
また、ドーパミンやノルアドレナリンの材料となるアミノ酸もあります。
つまり、脳が適切に機能するためには、
神経伝達物質をつくるための材料を食事からしっかり補給することが大切です。
ただし、「タンパク質を多く食べれば気分が必ず安定する」
という単純な話ではありません。
脳内の神経伝達物質は、アミノ酸だけでなく、ビタミンやミネラルなど
さまざまな栄養素や、睡眠、運動、ストレスなどの影響を受けています。
だからこそ、特定の食品だけに頼るのではなく、必要なタンパク質を確保しながら、
バランスのよい食事を続けることが重要なのです。
タンパク質不足は「疲れやすさ」にもつながる
タンパク質が不足すると、筋肉量を維持することが難しくなります。
とくに40歳代以降は、何もしなければ少しずつ筋肉量が減少しやすくなります。
筋肉が減ると基礎代謝の低下だけでなく、体力や活動量にも影響します。
「なんとなく疲れやすい」「以前より体が重い」「外出するのがおっくう」
といった状態が続けば、精神的な余裕も失われやすくなります。
十分なタンパク質を摂り、適度な運動を行って筋肉を維持することは、
身体面だけでなく、日々を元気に活動するための土台づくりにもなります。
朝食にもタンパク質を取り入れよう
タンパク質不足を防ぐためには、一日のどこかでまとめて摂るのではなく、
毎食に分けて摂ることがおすすめです。
とくに意識したいのが朝食です。
朝食がパンとコーヒーだけ、あるいは何も食べないという人は、
タンパク質が不足しやすくなります。
そこで、卵、魚、納豆、豆腐、ヨーグルト、牛乳などを組み合わせてみましょう。
たとえば、
「ご飯+納豆+卵+味噌汁」
「トースト+卵+ヨーグルト」
「ご飯+焼き魚+豆腐の味噌汁」
といった食事なら、無理なくタンパク質を取り入れられます。
肉や魚だけでなく、大豆製品や乳製品、卵など、
さまざまな食品から摂ることもポイントです。
感情を安定させるには「食事・睡眠・運動」のセットが大切
感情の安定を考えるとき、タンパク質だけを特別視する必要はありません。
脳と心の健康には、十分な睡眠、適度な運動、バランスのよい食事、
ストレスを溜め込まない生活が重要です。
その中でもタンパク質は、体をつくる基本的な栄養素であり、
脳の働きを支える材料にもなるため、不足させないことが大切です。
「最近イライラしやすいから、甘いものを食べて気分転換する」
という習慣が続いている場合は、まず普段の食事を見直してみるのもよいでしょう。
お菓子や甘い飲み物だけで空腹を満たすのではなく、
卵や魚、肉、大豆製品などを含む食事をきちんと摂ることで、
栄養バランスを整えやすくなります。
40歳代からは「体」だけでなく「心」のためにもタンパク質を
40歳代以降は、ダイエットや美容を意識するあまり、
食事量を減らしすぎてしまう人もいます。
しかし、極端な食事制限を続けると、
タンパク質をはじめとする必要な栄養素が不足する可能性があります。
美しい肌や髪、引き締まった体を維持するためにもタンパク質は欠かせません。
そして、健康的な体を維持し、脳が正常に働くためにもタンパク質は必要です。
つまり、タンパク質は「筋肉のための栄養素」だけではなく、
「健やかな毎日を支える栄養素」と考えることができます。
最近、疲れやすい、気分が安定しない、イライラしやすいと感じるなら、
睡眠やストレスだけでなく、毎日の食事を振り返ってみましょう。
まずは朝・昼・夜のそれぞれで、卵、魚、肉、大豆製品、乳製品などの
タンパク質食品を一品取り入れることから始めてみてください。
タンパク質をしっかり摂ることは、筋肉や肌、髪を守るだけでなく、
心身のコンディションを整えるための基本的な食習慣にもつながります。
ただし、気分の落ち込みやイライラなどが強く、長期間続いている場合は、
栄養だけが原因とは限りません。
睡眠や生活環境なども含めて見直し、
必要に応じて医療機関などに相談することも大切です。
毎日の食事を少しずつ整え、体だけでなく心も健やかに保つ。
その第一歩として、タンパク質を不足させない食生活を意識してみましょう。
