「健康のために運動を始めたいけれど、激しい運動は苦手」
「ジョギングをするとすぐに息が上がって続かない」
という人におすすめしたいのが、ニコニコペースのスロージョギングです。
スロージョギングとは、その名前の通り、
通常のジョギングよりもゆっくりとしたペースで走る運動です。
特に重要なのが「ニコニコペース」。
走りながら会話ができ、笑顔を保てる程度の無理のない強度を目安にします。
速く走ることだけが運動効果を高める方法ではありません。
むしろ、無理のない強度で長く運動を続けることには、大きなメリットがあります。

ニコニコペースとは?
ニコニコペースのスロージョギングでは、
「できるだけ速く走る」ことを目指しません。
目安になるのは、息が苦しくならず、会話をしながら続けられる程度の強度です。
スピードは人によって異なります。
体力のある人なら比較的速いペースでもニコニコしていられますし、
運動不足の人なら、かなりゆっくりした速度でも十分です。
つまり、「1kmを何分で走る」という絶対的な速度ではなく、
自分自身の体力に合わせて強度を調整することがポイントです。
福岡大学などで研究されてきたスロージョギングでは、
ニコニコペースを活用した運動が、
生活習慣病の予防や改善、体力向上などに役立つ可能性が示されています。
①持久力・心肺機能の向上が期待できる
スロージョギングの大きなメリットの一つが、有酸素能力の向上です。
ゆっくりしたペースでも一定時間走り続ければ、
心臓や肺、血管、筋肉などが継続的に働きます。
その結果、運動を続けるための基礎的な持久力を高めることにつながります。
実際に、高齢者を対象とした12週間のランダム化比較試験では、
低強度のスロージョギングを取り入れたグループで、
無酸素性作業閾値(AT)や椅子からの立ち上がり能力などが改善しました。
さらに、脚の筋肉組成にも良好な変化が確認されています。
「走る」というと若い人向けの運動に感じるかもしれませんが、
適切に強度を落とせば、運動習慣のない人でも取り入れやすい運動になります。
②脂肪燃焼・体重管理にも役立つ
ダイエットでは、「できるだけ激しい運動をしなければ脂肪は燃えない」
と考えてしまいがちです。
しかし、体脂肪を減らすために重要なのは、運動中の脂肪利用だけではありません。
長期的に考えると、無理なく継続できる運動を習慣化し、
1週間、1か月、1年単位で活動量を積み重ねることが非常に重要です。
運動不足の成人を対象としたランニング研究のメタ解析では、
継続的なランニングによって体重や体脂肪、安静時心拍数、
中性脂肪などの改善が確認され、最大酸素摂取量も向上しています。
もちろん、スロージョギングだけで必ず体脂肪が大きく減少するわけではありません。
食事内容や睡眠、筋力トレーニングなどと組み合わせることで、
より効率的な体づくりにつながります。
③「頑張りすぎない」から継続しやすい
運動で最も大切なことの一つが継続性です。
最初から速いペースで走ろうとすると、
息切れや疲労、筋肉痛などによって「つらい」という印象が強くなり、
運動そのものをやめてしまうことがあります。
一方、ニコニコペースなら、
「もう少し続けられそう」と感じる程度の余裕を残しながら運動できます。
ジョギングの強度と健康との関係を調べた研究でも、
軽度から中等度のジョギングを行う人では、
座りがちな人と比較して死亡リスクが低いことが示されています。
一方で、非常に激しい運動が必ずしもより大きな健康効果につながるとは
限らないという結果もあります。
つまり、健康づくりでは「限界まで頑張る」ことよりも、
自分に合った強度で長く続けることが重要なのです。
④40歳代以降の体力維持にもおすすめ
40歳代以降になると、
若い頃と比べて筋肉量や持久力が少しずつ低下しやすくなります。
特に運動不足が続くと、階段を上る、長時間歩く、
旅行でたくさん歩くといった日常生活の動作でも疲れやすくなることがあります。
そこで、ウォーキングよりも少し運動強度を高めながら、
通常のランニングほど身体に負担をかけない方法として、
スロージョギングは選択肢の一つになります。
研究では、高齢者を対象としたスロージョギングプログラムによって、
有酸素能力だけでなく、下肢の筋機能や筋肉の状態にも改善がみられました。
40歳代、50歳代以降の「いつまでも自分の足で元気に歩ける体」を
維持するためにも、無理のない有酸素運動を習慣にすることは大切です。
⑤Long Slow Distanceという考え方
持久系運動では、
Long Slow Distance(LSD)という考え方があります。
これは文字通り、「長く、ゆっくり、距離を踏む」というトレーニング方法です。
速いペースで短時間だけ頑張るのではなく、比較的低い強度で長時間運動することで、
持久力の土台を作っていきます。
健康目的で行う場合は、必ずしも長距離を走り続ける必要はありません。
最初は10分程度から始めてもよいでしょう。
福岡大学の研究紹介でも、1分間のスロージョギングと
1分間のウォーキングを交互に行い、10分間から始める方法が紹介されています。
「今日は10分」「慣れたら15分」「さらに余裕が出たら20~30分」
というように、少しずつ運動時間を伸ばしていくと無理なく習慣化できます。
⑥美しく若々しい体づくりにもつながる
スロージョギングは、単純に「走ってカロリーを消費する運動」
と考えるだけではもったいありません。
継続的な有酸素運動によって、心肺機能や血液循環、体脂肪、下半身の筋機能など、
健康的な身体づくりに関わるさまざまな要素を刺激できます。
特に40歳代以降は、体重だけを見るのではなく、
筋肉を維持しながら余分な体脂肪を増やさないことが重要です。
そのためには、スロージョギングだけに頼るのではなく、
スクワットなどの筋力トレーニングと組み合わせるのがおすすめです。
「筋トレで筋肉を守り、有酸素運動で体力を高める」という組み合わせは、
健康的で引き締まった体を目指すうえで非常に有効です。
無理をしないことが最大のポイント
スロージョギングを始める際に忘れてはいけないのが、
「ゆっくりでいい」ということです。
息が切れて会話ができないほど速く走る必要はありません。
膝や足首などに痛みが出る場合は、ウォーキングに切り替えることも大切です。
また、運動習慣がない人や持病がある人、
胸痛・強い息切れ・めまいなどの症状がある人は、
運動を始める前に医療専門家へ相談してください。
このように、ニコニコペースのスロージョギングは、
「速く走ること」を目的とする運動ではありません。
笑顔で会話ができるくらいの無理のない強度で、長く継続することが大切です。
心肺機能や持久力の向上、体脂肪の管理、下半身の筋機能の維持など、
健康づくりに役立つ可能性があり、
特に運動不足を感じている人にとって取り入れやすい方法です。
「運動はきつくなければ意味がない」と考える必要はありません。
健康や美容のために重要なのは、一時的に頑張ることではなく、
何年も続けられる運動習慣を作ることです。
まずは10分程度のウォーキングから始め、
慣れてきたら1分間のスロージョギングと1分間のウォーキングを交互に行うなど、
自分の体力に合わせて少しずつステップアップしてみましょう。
「頑張りすぎない。でも、やめない」。
この考え方こそ、40歳代以降の健康維持や若々しい体づくりにおいて、
スロージョギングを上手に活用するためのポイントなのです。
