インターネットやテレビには、
健康や美容、病気に関する情報が毎日のようにあふれています。
少し体調が悪いときにインターネットで症状を検索したり、テレビの健康番組を見て
自分の身体と照らし合わせたりする人も多いのではないでしょうか。
健康に関する情報を得ること自体は悪いことではありません。
しかし、あまりにも多くの情報に触れ続けることで、
かえって不安が強くなり、心を病んでしまうことがあります。
このような状態は「サイバー心気症(サイバーコンドリア)」と呼ばれています。
今回は、健康情報に振り回されてしまうサイバー心気症の特徴や、心身への影響、
そして情報に惑わされずに健康を守るための方法について解説します。

サイバー心気症とは?
サイバー心気症とは、インターネットで病気や身体の症状について
繰り返し検索するうちに、自分が重大な病気にかかっているのではないかという
不安が強くなってしまう状態のことです。
例えば、少し頭痛がしただけなのに、インターネットで頭痛の原因を検索すると、
風邪や眼精疲労、肩こりなどの身近な原因だけでなく、
脳腫瘍や脳卒中といった重大な病気の情報まで出てきます。
すると、最初は軽い頭痛だったにもかかわらず、
「もしかしたら自分も重大な病気なのではないか」と心配になり、
さらに詳しく検索するようになります。
検索すればするほど、さまざまな病気の情報が目に入り、
不安はますます大きくなっていきます。
そして、少しでも身体に違和感があると、
その症状を重大な病気と結び付けて考えてしまうようになるのです。
本来なら健康について知るための情報収集が、
いつの間にか自分の健康を脅かすほどの精神的なストレスになってしまいます。
情報を調べるほど不安が大きくなる悪循環
サイバー心気症の厄介なところは、情報を調べることで一時的に安心できても、
その安心感が長続きしないことです。
例えば、ある症状について検索し、
重大な病気ではないという情報を見つけると、一度は安心します。
しかし、今度は別の病気の可能性が気になり、再び検索を始めてしまいます。
さらに、インターネットの検索結果には、医学的な根拠が十分ではない情報や、
極端な症例を強調した記事、個人の体験談なども混在しています。
また、閲覧した内容に関連する情報が次々と表示されるため、
気付かないうちに似たような病気の情報ばかりを目にすることもあります。
その結果、自分が病気である可能性ばかりが気になり、
健康に対する不安が頭から離れなくなってしまいます。
テレビの健康番組などでも、
特定の症状から重大な病気が見つかったという事例が紹介されることがあります。
こうした情報を見て、
自分にも同じことが起こるのではないかと心配になる人も少なくありません。
しかし、テレビやインターネットで紹介される症例は、
すべての人に当てはまるわけではありません。
個人の体験談や一つの症状だけで、自分の病気を判断することはできないのです。
思い込みが本当の身体症状を引き起こすこともある
サイバー心気症が深刻になると、
単なる心配や不安だけでは済まなくなることがあります。
人間の身体と心は密接につながっています。
強い不安やストレスを感じ続けると、自律神経のバランスが乱れ、
心拍数の増加、発汗、胃腸の不調、筋肉の緊張など、
さまざまな身体反応が起こることがあります。
例えば、重大な病気にかかっていると思い込んでいる人は、
身体の小さな変化にも敏感になります。
普段なら気にも留めないような軽い頭痛や腹部の違和感、
筋肉のこわばりなどが気になり始め、
それがさらに病気への不安を強めてしまいます。
そして、不安によって身体が緊張し、実際に痛みや不快感が生じることもあります。
このように、心理的なストレスが身体症状として現れることは珍しくありません。
心配しているだけなのだから身体には何も起こらない、というわけではないのです。
ただし、身体の痛みや不調をすべて思い込みのせいにすることも危険です。
実際に病気が隠れている可能性もあるため、
気になる症状が続く場合は医療機関で適切な診察を受けることが大切です。
サイバー心気症にならないための情報との付き合い方
サイバー心気症を防ぐためには、
まず健康情報を必要以上に検索し続けないことが重要です。
身体に少し違和感があるからといって、
すぐにインターネットで病気を検索する習慣を見直してみましょう。
特に、検索結果に表示された重大な病気の症例を見て、
自分も同じ病気だと決め付けないことが大切です。
健康情報を調べる場合は、医療機関や公的機関、専門家などが
発信する信頼性の高い情報を参考にし、
個人の体験談や根拠の不明確な情報を鵜呑みにしないようにしましょう。
また、健康に関する情報を調べる時間を決めて、
必要以上に検索を繰り返さないことも効果的です。
不安を感じたときには、インターネットから少し離れて、
散歩や軽い運動、趣味、家族や友人との会話などに時間を使ってみましょう。
身体のことばかり考える時間を減らし、気持ちをリラックスさせることが大切です。
もし、健康への不安が強く、何度も検索を繰り返してしまう、
日常生活に支障が出ている、身体の症状が気になって仕方がないという場合は、
医療機関や心の専門家に相談することも考えましょう。
健康情報に振り回されず、心の健康も大切に!
インターネットやテレビから得られる健康情報は、
正しく活用すれば自分の健康を守るための大切な知識になります。
しかし、情報が多すぎる現代では、必要以上に病気を心配してしまい、
かえって心身の健康を損なってしまうことがあります。
特に、40歳代以降になると、
身体の変化や体調の違いを感じる機会も増えてきます。
そのたびに重大な病気を疑い、インターネットで検索を繰り返していては、
精神的なストレスが蓄積してしまいます。
健康を維持するためには、
食事や運動、睡眠などの生活習慣を整えることだけでなく、
心を穏やかに保つことも大切です。
情報を集めることに一生懸命になるよりも、
信頼できる情報を適度に取り入れ、必要なときには専門家に相談する。
そして、日々の生活を楽しむことを忘れないようにしましょう。
身体の健康だけでなく、心の健康も大切にすること。
それが、いつまでも若々しく健やかに過ごすための秘訣なのです。
