ナポレオンや発明家のトーマス・エジソンは、
1日3~4時間程度しか眠らなかったという逸話が有名です。
睡眠時間が短くても精力的に活動し、
大きな業績を残した人物として知られています。
こうした話を聞くと、
「自分も睡眠時間を減らせば、もっと自由に使える時間が増えるのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
実際に、世の中には1日3~4時間程度の睡眠でも、
日中に眠気を感じず、集中力や判断力が低下することもなく、
健康的に生活できる人がごくまれに存在します。
このような人たちは「ショートスリーパー(短時間睡眠者)」と呼ばれています。
しかし、ショートスリーパーは、単に睡眠時間が短い人という意味ではありません。
生まれつき短い睡眠時間で十分な休息が得られる、
非常に珍しい体質の持ち主なのです。

ショートスリーパーは遺伝子で決まる?
ショートスリーパーについて研究が進められた結果、
その体質には遺伝子が関係していることが分かってきました。
代表的なものとして知られているのが、
DEC2(BHLHE41)という遺伝子です。
この遺伝子に特定の変異を持つ人は、一般的な人よりも短い睡眠時間で
十分な休息を得られる可能性があることが報告されています。
そのほかにも、睡眠時間の短さに関係する遺伝子として、
ADRB1やNPSR1などが研究されています。
こうした遺伝的な特徴を持つ人は、
睡眠中に効率よく脳や身体を休ませる仕組みを備えていると考えられています。
つまり、一般的な人が睡眠時間を3~4時間に減らすと、疲労が蓄積したり、
日中に眠気が生じたりしますが、生まれつきのショートスリーパーは、
同じような問題が起こりにくいのです。
ただし、ショートスリーパーに関係する遺伝子の研究は現在も進行中であり、
特定の遺伝子だけで体質のすべてが決まるわけではありません。
訓練してもショートスリーパーにはなれない!
睡眠時間を短くする訓練をすれば、
誰でもショートスリーパーになれるのでしょうか?
結論からいえば、基本的にはなれません。
例えば、毎日7~8時間眠っていた人が、
いきなり4~5時間睡眠に切り替えたとします。
最初のうちは眠気や疲労を感じるかもしれませんが、
毎日続けていると、その状態に慣れてきたように感じることがあります。
しかし、ここで注意しなければならないのが、眠気を感じにくくなることと、
身体が十分に休息できていることは別だという点です。
睡眠不足が続くと、本人が自覚していなくても、
集中力や記憶力、判断力などが低下している場合があります。
また、脳の疲労が蓄積し、仕事や日常生活でミスが増えることもあります。
さらに、慢性的な睡眠不足は、自律神経やホルモンのバランスにも影響を与え、
食欲の乱れ、肥満、血糖値の上昇、免疫機能の低下など、
さまざまな健康問題につながる可能性があります。
つまり、短い睡眠時間に身体を慣らすことができたとしても、
それは本当の意味でショートスリーパーになったわけではないのです。
ショートスリーパーと睡眠不足の人は違う!
ショートスリーパーと、単純に睡眠時間が足りていない人には、
大きな違いがあります。
ショートスリーパーは、短時間の睡眠でも自然に目が覚め、
日中も眠気や疲労を感じず、集中力や活動能力を維持できます。
一方、睡眠不足の人は、短い睡眠時間を続けることで、
知らず知らずのうちに身体や脳に負担をかけています。
特に怖いのは、自分では睡眠不足に慣れたと思っていても、
実際には作業能力や判断力が低下していることです。
また、休日になると平日よりも何時間も長く眠ってしまう人や、
少し時間ができるとすぐに昼寝をしたくなる人は、
普段の睡眠時間が足りていない可能性があります。
自分がショートスリーパーなのか、
それとも睡眠不足なのかを見極めるためには、睡眠時間だけでなく、
日中の眠気、疲労感、集中力、休日の睡眠時間なども確認する必要があります。
無理に睡眠時間を減らす必要はない!
一般的に、成人の望ましい睡眠時間は個人差がありますが、
厚生労働省の睡眠ガイドでは、成人はおおむね6時間以上を目安に
必要な睡眠時間を確保することが勧められています。
もちろん、必要な睡眠時間には個人差があり、8時間程度必要な人もいれば、
それより短くても十分に休息できる人もいます。
大切なのは、睡眠時間を短くすることではなく、自分に合った睡眠時間を確保し、
毎日すっきりと目覚められる生活を送ることです。
睡眠中には、脳や身体の疲労回復、記憶の整理、ホルモン分泌の調整など、
健康を維持するための重要な働きが行われています。
特に40歳代以降の女性は、ホルモンバランスの変化によって
睡眠の質が低下したり、途中で目が覚めやすくなったりすることがあります。
睡眠不足が続けば、肌のターンオーバーや
食欲の調整にも悪影響を及ぼす可能性があるため、
美容面から考えても十分な睡眠は欠かせません。
ショートスリーパーは、遺伝的な要因が関係する非常に珍しい体質です。
睡眠時間を削って自由な時間を増やそうとするよりも、
質の高い睡眠を十分に確保して、
心身の健康と若々しさを維持することを優先しましょう。
睡眠は、単なる休息ではなく、健康と美しさを守るための大切な時間なのです。
