人の体は、約37兆個もの細胞で構成されており、
それら一つ一つがしっかり働くことで健康が維持されています。
その細胞のエネルギーは、食事や呼吸によって取り入れられた栄養素や酸素で、
全身に張り巡らされた血管の中を流れる血液によって一つ一つの細胞へ届けられます。
この血液の流れをコントロールしているのは自律神経です。
交感神経と副交感神経がバランスよく働いて自律神経が整っていれば、
血液の流れがスムーズになって全身の細胞に栄養素と酸素がしっかり届きます。
すると、細胞は活性化して活発に働き、健康的な体が維持されます。
しかし、何らかの原因で自律神経が乱れてしまうと、
血液の流れも悪くなって細胞が必要とする栄養素や酸素が不足し、
やがてあらゆる器官にトラブルが発生し、さまざまな不調があらわれてきます。
例えば、頭痛、めまい、動悸、息切れ、疲れやすい、倦怠感、手足のしびれ、肩こり、
冷え、便秘などの身体的な不調から、不眠、イライラ、怒りっぽい、気分が沈む、
やる気がでないなど、精神的な不調までさまざまです。
中でも重大なのは、脳の細胞の機能低下で、記憶力や判断力が低下するだけでなく、
内臓をはじめ、各器官の機能低下につながり、免疫力が低下して
病気にかかりやすくなり、肌や髪、爪などの美容面にも悪影響を与えます。
最悪は、ドロドロ血液から血管が劣化して動脈硬化、
さらに、脳梗塞や心筋梗塞につながって命にかかわる重病を招くことです。
こうした自律神経による不調に陥らないためには、
日頃から栄養バランスのよい食事を心がけて規則正しい生活を送り、
ストレスや悩みを抱えないことが必要です。
とはいっても、常にストレスや不安が多い現代社会。
せめて、休日などはスポーツなどで体を動かしてストレスを解消し、
また、寝る前の入浴に時間をかけて、心身ともリラックスして
質のよい睡眠が取れれば、自律神経の安定に有効となります。
オススメの入浴法は、40度程度のぬるめのお湯に約15分間浸かることです。
最初の5分は、肩までしっかり浸かる全身浴で、
その後の10分は、体の半分まで浸かる半身浴で体を温めます。
このように約15分間お風呂に浸かるということは、
軽い運動を20分間以上続けたときの状態と同じような効果があり、
心拍数が上がり、全身の血液循環がよくなり、
さらに、筋肉が温まって体温が上昇します。
すると、副交感神経の働きが優位になって、心はリラックスし、
ぐっすりと熟睡できるようになります。
逆に、熱いお湯は、交感神経が高まるので興奮状態になり、
なかなか寝付けないということになってしまいます。
また、よくシャワーだけという人もいらっしゃいますが、体が温まらず、
副交感神経の働きを低下させてしまいます。
なので、毎晩、ゆっくり時間をかけてお風呂に入り、
心身ともリラックスさせて質のよい睡眠を得るようにしましょう。
この入浴法を継続することで、自律神経が整えられて
健康的な体の維持につながります。