人生の約3分の1の時間は睡眠が占めています。
それだけ多くの時間を費やしているにもかかわらず
「夜になったら、当然のように布団に入って寝る・・・」と、
このように睡眠は日々の生活習慣の中であまりにも当然のような行為なので、
その大切さや効果に、まったく気づいていない方が少なくないようです。
それでは、なぜ、人は眠るのでしょうか?
その答えは、前日の疲れを完全に解消するためです。
しかし、誰しもが朝起きても疲れが残り、
スッキリしない朝を迎えるという経験をしているのではないでしょうか。
それは、質の高い睡眠がとれていないということで、
たとえ10時間近く眠ったとしても十分な睡眠がとれていることにはなりません。
もし、睡眠不足の状態が何日も続いたら、人は一体どうなってしまうのでしょうか?
若い頃は「一晩くらい寝なくても1日中元気でいられる・・・」
と思うこともあったでしょうが、睡眠不足が続けばどんどん疲労が蓄積して、
やがて体を動かすこともできなくなり、最悪は死に至ります。
ですが、実は、肉体よりも脳のほうが睡眠不足によるダメージが大きくなります。
脳は、体を動かし、体の疲労や休息の判断をしたり、さまざまなことに指令を出して
判断するなど、起きている間、ずっと働き続けています。
実際、体は一晩くらい寝なくても筋肉が衰えて
大幅に減少するということはありませんが、脳は、睡眠という休息がなくなると、
脳の細胞の一部が壊れたりして、適正な指示ができなくなってきます。
そして、イライラして集中力がなくなり、1日中ボーッとして
物忘れも頻繁に起こるなど、日常生活の中で、かなりの支障をきたし、
さらに、睡眠不足が続けば脳細胞が完全に破壊されて脳死という状態に陥ります。
ということで、人は、前日の疲れを解消して、生命を維持するために眠るわけです。
そんな睡眠は、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠の2つがあります。
眠りに入る時は、浅い睡眠から徐々に深い睡眠になってノンレム睡眠から始まり、
その後、約90分ごと交互に、朝までノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返されます。
そして、最初のノンレム睡眠で、深くぐっすりと熟睡できれば質の高い睡眠となり、
朝はスッキリと目覚めることができ、前日の疲労も解消されます。
なので、質の高い睡眠を得るには、眠りに入った時の最初のノンレム睡眠で、
いかに深く熟睡できるかにかかっています。
そのためには、まずは、睡眠をとるための環境を整えて、
いろいろ工夫することが大切です。
例えば、就寝1時間くらい前は、リラックスさせるために、入浴して体を温め、
パソコンやスマホなどは見ないようにし、
コーヒーなどのカフェインが含まれた飲み物は、8時以降は控えて、
寝る時以外はベットで寝そばらないようにしましょう。
寝付きの悪い人は「お酒を飲んで・・・」という話をよく聞きますが、
アルコールは睡眠にとっていいことは何もありません。
運動習慣のある方はウォーキングやストレッチ程度の軽い運動なら睡眠に有効ですが、
激しい運動は睡眠の妨げになりますので、就寝前は控えましょう。
次に、睡眠時の環境ですが、動きやすいパジャマを着て、
ガサついたりしない柔らかい布団で、
照明も真っ暗ではなく、薄明かりが良いとされています。
そして、結構重要なのが枕です。
実際、外出した時など、「枕が変わると眠れない・・・」という方は多いです。
首を支えるという役割のある枕が、自分の体に合っていないと、
当然、首や肩に負担がかかり、疲労回復どころではありません。
自分の体に合った高さなど、最もフィットする枕を見つけましょう。
このように、睡眠をとるための環境を整えて、いろいろ工夫してみれば、
かなり高い確率で質の高い睡眠が得られるようになると思います。
しかし、こうした内容は一般的なことで、
実際、睡眠は1人ひとり違い、さまざまです。
自分の睡眠に合った環境作りが本当に重要です。